著者の方々から頂いておりましたので、遅まきながらご紹介さして頂きたいと思います。

(すみません、半年近く経ってしまいました……。)

概要

  • ウェブのクライアント側の濃い技術がたっぷり
  • UXの話からブラウザーの仕組みまで
  • 難易度は高め、だけどそこまで高くはない
  • 全てを理解できなくても、勉強の指針として目次を頭に入れておくと良さそう
  • ツール解説は特になし
  • 「10年先も役立つ力をつくる」は本当だと思う

内容がすごい濃い

濃い目の技術が盛りだくさんで、正直どう表現して良いものか……。

目次

とりあえずこちらご覧ください。公式サイトより。

特集1
フロントエンドエンジニアとしての基礎と準備

    第1章:フロントエンドエンジニアとは?…… 斉藤祐也
    第2章:Webブラウザの基礎知識…… 斉藤祐也
    第3章:UI/UXデザイン入門…… 石本光司
    第4章:HTML/CSS/JavaScript基礎…… 加藤賢一

特集2
フロントエンド開発フィールドガイド

    第5章:マークアップクイックレシピ…… 水野隼登
    第6章:CSS実践入門…… 谷 拓樹
    第7章:JavaScriptの設計と指針…… 泉水翔吾
    第8章:モバイル・マルチデバイスへの対応…… 原 一成
    第9章:フロントエンドの開発環境…… 石本光司
    第10章:JavaScript開発におけるテスト…… 平木 聡
    第11章:パフォーマンス入門…… 佐藤 歩
    第12章:Gitでバージョン管理…… 原 一成
    第13章:現場で使える品質管理…… 平木 聡
    第14章:セキュリティ対策の基本…… 杉本吉章

特集3
フロントエンド開発最前線

    第15章:Web Components入門…… 谷 拓樹
    第16章:ECMAScript 6…… 泉水翔吾
    第17章:WebRTCの実装…… 杉本吉章

基礎の話は少な目

目次をご覧頂ければわかると思うんだけど、まあ基礎はほとんどないです。HTMLやCSSについても、基礎というか最近のHTML5やらCSS 3やらについての記述が主で、タグの書き方とかは書いてません。Gitは割と初心者向けかな。

ツールも少な目

ツールはだいたい流行り廃りがあるので、十年後も役立つかという観点でみると紹介しづらいと思います。

「第9章:フロントエンドの開発環境」で幾つか記載があります。開発者ツールやGruntなど。

「10年先も役立つ力をつくる」

本書に限らずシリーズのキャッチコピーですが、これは本当だと思います。「10年先も使える知識」ではない事は強調したい。

パフォーマンス

例えばパフォーマンスの話。「第11章:パフォーマンス入門」では収益にも関係するGoogleの態度や利用者環境の多様化という面から重要性を説いた後、影響する因子を分解し、各種対策を論じます。

ここに登場する固有名詞や対策の実装内容などは将来変わる事もあるでしょう。しかし因子が増えこそすれ減る事はなく、また対策の根本的な方針(計測して課題を発見し、通信量、処理量を減らす)は変わりません。

CSSの設計

「第6章:CSS実践入門」では、CSS設計について触れています。

近年著名なCSS設計パターンとしてOOCSSやBEM等が挙げられていますが、文法だけではなく、思想にも触れています。そもそもそのパターンを紹介する前には「より良いCSS」の条件として可読性を始めとする指針を提示しています。今後いずれかのパターンへ収束するにすれ、新たなパターンが広まるにつれ、そのゴールは大きく変わる事はないでしょう。

ちなみにCSS設計の話をもっと聞きたければ、本書での担当である谷拓樹さんの単著があります。私は未読ですが評価は高いようです。

技術力の基礎を身に着ける

そのあたりの勘所を鍛えるための道標として、本書はおすすめしたいと思います。

エンジニアになろう

「エンジニア」は「技術者」と訳されますが、「エンジニアリング」は「工学」と訳されます。

engineering

【名詞】【不可算名詞】

1 工学; 機関学.

2 工学技術; 土木工事.

3 巧みな工作[処理].

本書でフロントエンドまわりの技術を知り、実践して身に着け、ただの作業者から自律的に課題を発見し解決できるエンジニアになってもらいたいと思います。

濃い目の技術と言っていますが、要点をかいつまんで説明していますし、そこまで突っ込んだ内容ではありません。それなりに読めると思います。

また全て理解できないにしても、今後どういう技術を身に着けてゆけば良いかの指針になります。

あ、Kindle版も出ました。

書店ではまだ平積みされていました。お正月のうちに目を通しておいてはいかがでしょうか。